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デザ引力

さあ、お立会いお立会い、パースや建築デザインでお困りの方はぜひぜひ、ごらんください。デザ引力で、目からうろこのアイディアをお届けします。お気に召さねば、お代金は一切いただきません。どうぞ、お試しあれ!
アイランドキッチン-02
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理想のキッチンとは、使わないこと。


アイランドキッチン


 一昔前のことだ。大判の建築雑誌のグラビアを見ながら、そのあか抜けたインテリアの風景に、いいねえと言いながら、うっとりと見入る母が、もっとも感動したシーンがある。
 
その掲載の写真と記事は――― 。
 統一したステンレス製の調理器や整然と片付いたテーブルがまばゆく光り、シンプルに美しく整えられたアイランド型のキッチン。その写真の中の人物、
清潔を絵に描くような、白いワイシャツ姿のオーナーに、きれいなキッチンの秘訣を問うている。

『使わないことです』と彼は答える。

この答えに、ぼくの母は真面目顔で「なるほどねえ!」としきりに相づちを打っていた。
使わなければ、いつもぴっかぴっかのキッチンである訳だ。その分外食費がかさむだろうが…。

「キッチンなんて、料理をするためにあるのに、使わないキッチンが良いなんて考えられん」とぼくが言うと、母は「女でないとわからんことだ」と一蹴された。

 当時83歳になる母は5年前に夫を亡くし、一人暮らしであったが、その住まいには友人が行き交い始終賑やかだった。住まいはいつもきちんと掃除が行き届き、ここだけは空気が違うのではと思う程清々しくあった。
 だが、そんな部屋から伺えるほど、母はきれい好きではなかったのだ。いや、それ以上に彼女は日常の掃除や片付けを疎ましく思っていたにちがいない。何故なら…、
 商家の出自でお嬢さん育ちの母は料理は他人任せで、フルーツが好物なのに、自分で剥くのが面倒くさく、そばにあっても食べずに我慢するほど無精者だから、掃除や片付けが好きなわけがない。おそらく、みっともない格好は見せられないと言う大正生まれの女性の気概が、一種の強迫観念になって、毎日の掃除や片付けに駆り立てたのではなかろうか。
 それは皮肉にも、他人に常にきれいで楽しいインテリアを見せる演出になった。

『キッチンをいつもきれいに保つには、使わないことだ』、この答えは最初、冗談に決まってる、高価なシステムキッチンに対する諧謔さ、と思ってたぼくは、母が亡くなって8年過ぎた今、使わないキッチンとは、あながち,間違いでもなく、そんなライフスタイルもあるのではと、いや、もしかすると女性の理想のキッチンではと思うようになってきた。

■関連ウエブサイト

「パースはカンで描きまする!」http://www.atelier-k-plus.com/
「パース110番」 http://www.pers110.jp/
「パース考」 http://pers.exblog.jp/
「デザ引力」 http://design110.blog58.fc2.com/
「泉デザイン研究所」 http://www.izumi.net/

2011.09.08.Thu 02:05 | ティ ブレイク | trackback(0) | comment(0)
青い洗濯バサミは買ってはならない!

洗濯物干し用に40個ほどのピンチ(洗濯バサミ)のついた折りたたみ式のプラスティックのハンガーがある。プラスティック製だから、耐候性は低い。まあ、3,4年をしのげるか、劣化すると表面が粉をふいたようにガサガサして、何かの拍子にぽっきり折れてしまう。500円~700円の商品だから、この程度の寿命で我慢しろと言うことかもしれない。
ヒ#12442;ンチハンカ#12441;ーblog

ぼくが我慢できないことは、このピンチハンガーではない。このハンガーについてるピンチの脆弱さにある。
 数年の経験では、約3カ月経ったところで、何個かのピンチの先端が壊れる。ピンチのハサミ部分を開こうとすると、洗濯バネの一番負荷のかかる先端部分がパキッと折れて使えなくなる。このダメになったピンチが日毎に増えていき、ほぼ1年では40のピンチがすべて使えなくなる。本体の耐久性は3.4年あるかもしれないが、3カ月でその部分、ピンチに欠陥が生じることはやはり不良品ではないだろうか、使用時間をどのくらい経ての欠陥で不良品と呼ぶかの定義であれば、ちょっとややこしくなるが、間違いないことはこのピンチハンガーは3カ月よりその機能は低下し、1年余で全くその機能は停止することである。
壊れたピンチの残骸

次第にピンチが減って、物干しがだんだんできなくなっていく経過をクールに見つめるだけの、ぼくはお人よしではない。
 最初に購入したピンチハンガーはピンチが半分ほどなくなったところで、この役立たず目!と怒り最中に廃棄物にしたが、再度の購入では、ハンガー本体をそのままに、ピンチだけ取り換える工夫を家人に教わった。
掲載のハンガー写真は、元々あった純正ピンチはすでになくなって、すべて新しく取り換えたピンチの様子である。
ピンチはブルーの色物から壊れていく。青色が紫外線に反応して劣化を早めるのか、その原因は分からないが、耐候性に問題ありだ。どんな色でも劣化はあるが、青色のピンチは異常なほど早く、そろって、壊れていく。百均の安物でも同じ傾向だった。
 また、ピンチだけを購入するにも、12個入りのセット販売は、白と青が半々で、白だけの物が売ってない。役立たずの青までも買わねばならず…。ああ、このもどかしさにも救いがない。

青色のピンチハンガーはどうにかならないものかと購入先のホームセンターに掛け合ったら、対応した主婦らしき女性も同じ経験を話してくれたので、「青色の劣化」は間違いなさそうだ。
 ぼくは、店主に、「青色のピンチの劣化についての説明が欲しい」とメーカーに問うお願いをしたが、何の返事もない。
 
 それから、2年が経過して、ピンチハンガーの売り場をのぞいてみると、昔と変わらないブルーのピンチハンガーが山積みされていた。

今日もピンチが壊れて、新しいものに取り換えながら、怒りが込み上げてきた。壊れたピンチ


どうして,メーカーはいまだにブルーのピンチハンガーを作り続けるか、もしかすると,皮肉にも他色よりブルー色が売れ筋であるためぼくのクレームは無視されるのか。
この問題はささいなことか?
ぼくの腹立たしさは大人げないことか?
こんなもんだと納得して我慢する、ほんとうにささいなことだろうか?

そして、ぼくも仕事に同じような問題を抱えていることに気づかされた。

さて、デザインとは縁の下の力持ちになってるだろうか?。
2011.08.16.Tue 22:54 | ティ ブレイク | trackback(0) | comment(3)
 ぼっ、石油ストーブに点火すると足下がオレンジ色に染まった。自分の部屋にやっとたどり着いた安堵感が、部屋に伝わる暖かさとともに、次第に甦って来た。
 
 ここは東京、世田谷に在る某カフェの2fの喫茶室である。カフェは住宅街の奥まったところに在って、それから、20mほどの木立のアプローチを抜けてたどり着くから、知らない人が案内なしで立ち寄れる場所ではない。
 間口4m、2階建て木造の家屋は、おそらく戦後、昭和25年頃に建てられたものだろう、こんな安普請の造作で半世紀よくぞ生き延びたものよと感心させられる。ファサードの格子組でガラスの入る引き違い戸はどこにでもある普通の家の玄関口である。ファサードと言うカタカナ語はここには似つかわしくない。その形容が思いつかないほど、普通の、ごく普通の、目立たないボロ家である。
 壁にはカフェの店名が手描きで書かれたA3ほどの看板が吊るされている。
 1階はコーヒーの焙煎室とコーヒー豆の売店、2階の喫茶室は外階段から入る。

 喫茶室は約4坪ほど、奥行き3mと4.5mの部屋である。中央の3角形のテーブルの2辺に4席、壁側のテーブルに向けて座るのが4席である。ぼくが朝一番の客に違いない、ひんやりとした室内と、オーナーがストーブに火を点けた様子は何とも言えない、新鮮で気分のいいもてなしだった。

cafe-r-01



 室内の作りは、天井、壁はベニヤ板にペイント仕上げ、一部分は漆喰のスタッコ仕上げで、床は杉材のフローリング(古板張りと言う方が相応しい)、外観通りのぼろい仕上げである。(客商売の室内で、これほど貧相な造作の家屋にお目にかかることの方が珍しいのでは…)
 ステン染色塗料で仕上げられたテーブルはマット仕上げなのに、年期の入った拭き掃除のおかげか、黒光りしている。椅子はありふれた事務椅子であろうが、なじみよく、おそらく、座り心地で選び抜かれたのだろう、それぞれに異なる。膝掛けのためのブランケットが椅子の背に掛けられている。読書のためのライトスタンドも使い古されたものであるが、ここでは、何故か普段よりも、明るく暖かく感じられる。

cafe-r-02



 贅沢な什器や調度品は何一つない。それでいて、自分のために、整えられた空間のようで、うれしくなってくる。
 テーブルの上や書棚の本は、「すでに読まれた本」だ。だから、一つ一つが選び抜かれた本となって、その信頼や楽しさでぼくらをいっそう魅了する。
 映画、小説、写真、芸術、他多様な書籍を、和書から洋書、雑誌、カードにしてランダムに置いてある。新刊書より古書が多い。それぞれに意味があり、何がしかの感動を与えた本だ。知性を衒った、ディスプレイのための書籍ではないのだ。
 ここにある置物はオーナーのコレクションであろうが、客の寄贈するものもあろう。誰かに読んでもらいたい、見てもらいたいとそんな気にさせるような雰囲気がある。
 BGMが流れていた。いままで、全く気付かずにいたのが不思議だ。おそらく、思考を妨げない、音量と選曲のなせる技だ。サイモン&ガーファンクルの曲で、美しく優しいヴォーカルの響きが流れていた。唯一、オーナーの思いのような気がした。

 この居心地の良さはどこからやってくるのだろう。

 インテリアで、気障にならない雰囲気を演出するのは至難の業である。
 手を抜くと、軽くてお粗末、貧相な感じになるし、手を加えすぎると、臭くて、偽物,てらいが神経を逆なでる。アンティークとか、古民家風とかのインテリア・デザインに時々、感じる居心地の悪さはこの類である。

cafe-r-03



 ここは自分の部屋で、自分の書斎である。そして、みんなのリビングである。ここは、ぼくらに、つくろわず、媚びず、押し付けず、まったく自然のままにある。オーナーはおそらく、「ぼくらのため」にこの部屋を造ったのではなく、「自分のために」造ったのだろう。自分が一番くつろげる部屋を考え、好きな本や、好きな絵や好きな家具や、座り心地の良い椅子を選んで、ここで過ごしたいと思ったのだ。
そして、ぼくらはオーナーのセンスや趣味性が心地よくて、いつの間にか、ここに集ったのだろう。

 いいインテリアを造るには他人におもねず、自由に自然に、自分の思うままにデザインする方が、依頼主にも、そこに訪れるお客にもいい雰囲気を造るようだ。もちろん、そのデザイナーのセンスに共感しての話だけど。
 しかし、デザイナーは、依頼主の好みやイメージに合わせた、多様なスタイルを提案するのもプロとしての役割だ。
 とすると、他人に見られることを意識せずに「自分の好きな部屋」を造る機会は人生にそう沢山あるわけではない。
 そんな機会が訪れたら、思い切り、自分の好きなコレクションを集め、好きな造作やレイアウトでデザインしよう。

 お客が現れた。中年の男性一人、ぼくとお互い会釈をして、左の壁向きの席をとった。彼は、粋なツートンカラーの皮革のショルダーバックから、本を取り出して読書を始めた。

 客にコーヒーを持ってきたウエイトレスに、ぼくはコーヒーのお代わりとシフォンケーキを注文した。

cafe-r-04



窓の外を見やると、
快晴の空に葉一つない冬枯れの木立が一本凛として立っていた。

2010/1/23




リアルシミュ-01

某ビルダーからの依頼で、新規商品(戸建プレハブ住宅)のパースを描きました。このパースは当社の商品カテゴリーでは「リアルシミュレーション」と言います。本物そっくり、建ったままの景観をパースにすることです。パースはパース(想像図)の域を出ませんから、パースに描かれる建物は架空の、計画中の建物だと思われます。そんな風に思われたり、思わせる要因は、対象となる建物のロケーションの描き方にあります。建物が「既設のもの」と思わせるには、建物のディティールに手が抜けないことはもとより、ロケーションの細部にわたって、神経を使います。外溝デザインを計画して、それに適した、植栽や舗装材を選び、隣地や背後の景観を違和感なく取り入れなければなりません。もちろん、それらは自由に選べることですが、それらを3Dで構成するとなると大変です。このパースでは建物のみ3Dの構成で、他の景観はすべて写真の合成です。写真画像は採光の時間と角度を常に考えながら、被写体を探して収集したものです。ちなみに、製作は約18日間費やして、40万円の経費がかかりました。実際建てるとなると4~5千万円ですから、その実績?を想像させるには、安上がりな方法ではと思いますが。このパースを見て、建物が偽物であると見破る人は相当な眼力です!






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